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建物の負荷容量の計算方法|ブレーカー容量・幹線の選び方を分かりやすく解説

最終更新: 2026-09-16

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建物の電気設備設計で、電気機器の確認から負荷容量、電流、ブレーカー、幹線、電圧降下までを順番に示した図

負荷容量・ブレーカー・幹線を計算する

建物の電気設備を計画するとき、「建物全体でどれくらいの電気を使うのか」「ブレーカーは何Aにすればよいのか」「幹線はどのサイズを選べばよいのか」を順番に考える必要があります。

一見すると複雑ですが、基本的な流れは、

使用する機器を確認する → 負荷容量を求める → 電流(A)に変換する → ブレーカーを選ぶ → 幹線を選ぶ

という順番です。

この記事では、比較的小規模な低圧受電の建物をイメージしながら、負荷容量の計算からブレーカー、幹線の選定までを分かりやすく解説します。

1.建物の「負荷容量」とは?

電気設備でいう「負荷」とは、簡単にいえば電気を使用する機器や設備のことです。

建物には、照明、コンセント、エアコン、IH調理器、電気温水器、ポンプ、換気扇など、さまざまな電気機器があります。

これらの機器が使用する電力を調べ、建物全体でどの程度の電力が必要になるのかを計算することが、負荷容量を求める基本になります。

例えば、

照明 1,000W

コンセント 2,000W

電気温水器 3,000W

その他機器 2,000W

であれば、単純な合計は、

1,000+2,000+3,000+2,000=8,000W

となります。

ただし、実際の負荷計算では、単純にすべての機器のWを合計するだけではありません。

負荷の種類によって計算方法が異なるほか、設備が実際に使用される状況を考慮する「需要率」という考え方もあります。

需要率については、後ほど詳しく説明します。

まずは、建物内にある機器を負荷の種類ごとに整理してみましょう。

2.建物内の機器を負荷の種類ごとに整理する

建物内の電気機器は、一般負荷・加熱負荷・電動機負荷・溶接機負荷などに分類して考えると整理しやすくなります。

一般負荷・加熱負荷・電動機負荷・溶接機負荷の種類と主な機器・設備の例

負荷容量・ブレーカー・幹線を計算する

なぜ負荷を分類する必要があるのでしょうか。

大きな理由の一つが、負荷の種類によって負荷容量の求め方が異なるためです。

例えば一般的な電気機器では消費電力を基準にできますが、電動機では定格出力と効率から入力電力を求める場合があります。

この違いを理解しておくと、その後の負荷計算が整理しやすくなります。

3.負荷の種類によって負荷容量の計算方法が違う

負荷容量を求めるときは、すべての機器に同じ計算式を使うわけではありません。

基本的な考え方を整理すると、次のようになります。

一般負荷、加熱負荷、電動機負荷、溶接機負荷の4種類と、それぞれの負荷容量の基本計算方法を比較した図

負荷容量・ブレーカー・幹線を計算する

効率・需要率・使用率を%で入力する場合は、100で割って小数に直して計算します。

例えば需要率80%なら「0.8」、効率90%なら「0.9」です。

一般負荷・加熱負荷の計算方法

一般負荷や加熱負荷では、基本的に機器の消費電力(W)を確認します。

例えば500Wの機器が4台あり、需要率80%を適用する場合は、

500W × 4台 × 0.8 = 1,600W

となります。

電動機負荷の計算方法

モーターなどで定格出力が示されている場合は、効率を考慮して入力側の電力へ換算します。

例えば定格出力5.5kW、効率90%なら、

5.5kW × 1,000 ÷ 0.9 ≒ 6,111W

となります。

ここで大切なのは、定格出力と実際に電源から取り込む入力電力は同じではないという点です。

溶接機負荷の計算方法

溶接機は連続して一定の電流を流すとは限らないため、計算目的によっては使用率を考慮します。

熱的等価負荷を求める場合には、使用率の平方根を利用する方法があります。

ただし、溶接機については、電線設計、設備設計、電力会社への申請など、計算する目的によって扱いが異なる場合があります。

そのため、上記の式は熱的等価負荷として扱う場合の基本的な考え方として理解しておきましょう。

4.負荷計算で使う「需要率」とは?

一般負荷、加熱負荷、電動機負荷を計算し、需要率を考慮して建物全体の負荷容量を集計する流れを示した図

負荷容量・ブレーカー・幹線を計算する

需要率とは、設置されている負荷のうち、実際にどの程度が同時に使用されるかなどを考慮するための割合です。

建物に設置されている機器が、すべて同じ時間に最大出力で使用されるとは限りません。

例えば合計10,000Wの設備に需要率80%を適用する場合は、

10,000W × 0.8 = 8,000W

となります。

この8,000Wを、想定される負荷として計算に使用する考え方です。

ただし、需要率は負荷容量を小さくするために自由に設定する数値ではありません。

建物用途、設備の使用方法、負荷の種類、適用する設計基準などを確認し、根拠のある需要率を使用することが重要です。

また、需要率をどの段階・どの負荷に適用するかについても、計算目的に応じて判断する必要があります。

5.各負荷を合計して建物全体の負荷容量を求める

それぞれの負荷容量を計算したら、建物全体で集計します。

例えば、

一般負荷 4,000W

加熱負荷 6,000W

電動機負荷 5,000W

であれば、

4,000+6,000+5,000=15,000W

となります。

このように、機器を拾い出す → 負荷種類ごとに計算する → 必要に応じて需要率を考慮する → 最後に集計するという流れで建物の想定負荷を求めます。

ただし、ここで求めた建物の想定負荷と、電力会社との契約電力は必ずしも同じではありません。

電力会社への申請では、契約方法や供給条件に応じて別の換算や算定が必要になることがあります。

「建物の負荷計算」と「契約電力の計算」は分けて考えることが重要です。

6.負荷容量(W)を電流(A)に変換する計算方法

ブレーカーや電線を選定するには、負荷容量をWで求めるだけでは足りません。

次に、その負荷によって何Aの電流が流れるのかを求めます。

ここで必要になるのが、電源方式・電圧・力率です。

負荷容量・ブレーカー・幹線を計算する

単相2線式、単相3線式、三相3線式で負荷容量Wを電流Aに変換する計算式と、単相200Vと三相200Vの電流を比較した図

単相2線式の電流計算

単相100Vの場合は、

I = W ÷(100 × 力率)

単相200Vの場合は、

I = W ÷(200 × 力率)

となります。

例えば単相200V、5,000W、力率0.9なら、

5,000 ÷(200 × 0.9)≒ 27.8A

です。

単相3線式の電流計算

単相3線式100/200Vでは、

L1-N=100V

L2-N=100V

L1-L2=200V

として、100Vと200Vを使用できます。

200V負荷については、

I = W ÷(200 × 力率)

で計算できます。

一方、100V負荷についてはL1側とL2側に分かれるため、負荷のバランスを確認する必要があります。

例えばL1側が30A、L2側が50Aの場合、単純に平均して40Aと考えるのではなく、負荷の大きい50A側を確認します。

三相3線式の電流計算

三相200Vでは、

I = W ÷(√3 × 200 × 力率)

となります。

例えば5,000W、力率0.9なら、

5,000 ÷(1.732 × 200 × 0.9)≒ 16.0A

です。

同じ5,000Wでも、単相200Vと三相200Vでは流れる電流が異なることが分かります。

7.WからAへ変換するときは力率を考慮する

力率は、WからAを求めるときに重要な要素です。

例えば単相200V、2,000Wの負荷の場合、力率1.0なら、

2,000 ÷(200 × 1.0)= 10A

力率0.8なら、

2,000 ÷(200 × 0.8)= 12.5A

となります。

同じ2,000Wでも、力率が異なれば流れる電流も変わります。

そのため、基本的にはそれぞれの負荷に対応した力率を確認して電流を求めると考えると分かりやすくなります。

複数の異なる負荷が同じ回路に接続される場合は、それぞれの負荷電流や皮相電力を求め、回路全体として評価します。

8.負荷電流からブレーカー容量を選ぶ

WからAへの変換ができたら、次はブレーカーを選定します。

負荷電流からブレーカーを選び、電線の許容電流と電圧降下を確認して幹線を選定する流れを示した図

負荷容量・ブレーカー・幹線を計算する

ここで重要なのが、

「計算で求めたA=そのままブレーカー容量」ではない

という点です。

例えば計算結果が27.8Aだった場合、この27.8Aはまず負荷電流です。

負荷の種類、電線の許容電流、始動電流などの条件を確認し、30A、40A、50Aなどの標準的なブレーカー容量から適切なものを選定します。

一般負荷などで考え方を単純化すると、

負荷電流 ≦ ブレーカー定格電流 ≦ 電線の許容電流

という関係が基本になります。

例えば負荷電流が27.8Aで30Aのブレーカーを選定する場合、その回路に使用する電線についても、施工条件を含めて30A以上を安全に流せることを確認する必要があります。

つまり、ブレーカーだけを単独で決めるのではなく、負荷と電線をセットで考えることが大切です。

9.電動機がある場合のブレーカー選定には注意する

モーター、ポンプ、ファンなどの電動機は、照明やヒーターなどと少し考え方が異なります。

電動機は始動するときに、通常運転時よりも大きな電流が流れる場合があるためです。

そのため、「定格電流が10Aだから、そのすぐ上のブレーカーを選べばよい」と単純には判断できません。

始動方式、始動電流、保護方式、メーカーが指定するブレーカー容量などを確認する必要があります。

また、電動機を含む幹線では、電線の許容電流を検討するときに、条件によって電動機電流の125%・110%などを考慮する規定があります。

ここで注意したいのは、125%・110%という数値は、「建物の想定負荷Wを1.25倍・1.10倍する」という意味ではないことです。

建物の負荷容量を求める計算と、電動機を含む幹線・電線を設計する計算は別のものとして考えます。

10.ブレーカーが決まったら幹線を選ぶ

次に幹線を選定します。

幹線とは、建物内でまとまった電力を分電盤などへ送る主要な配線です。

イメージとしては、

電力量計 → 主幹ブレーカー → 幹線 → 分電盤 → 分岐回路 → 各機器

という流れです。

幹線を選ぶときに、まず確認するのが電線・ケーブルの許容電流です。

許容電流とは、その電線を安全に使用できる電流の上限を考えるための値です。

例えば主幹ブレーカーが50Aであれば、その回路の条件において50Aを安全に流せる幹線を選定する必要があります。

ただし、

「50Aのブレーカーなら必ず○sq」

というように、ブレーカー容量だけで電線サイズを決めることはできません。

許容電流を確認する

11.幹線の許容電流はケーブルの種類や施工条件で変わる

幹線には、CV、CVT、EM-CE、EM-CET、IVなど、さまざまな電線・ケーブルが使用されます。

電線の許容電流は導体サイズだけで決まるわけではありません。

例えば、同じ太さの電線でも、電線・ケーブルの種類、配管内・ラックなどの施工方法、周囲温度、同じ管に収める電線数や回路数などによって、使用できる条件が変わります。

そのため、実際の幹線選定では、適用する規程やメーカーの許容電流表などを確認します。

必要な電流を流せることを確認してから、使用するケーブル種類とサイズを決定するという考え方が基本です。

12.幹線を選ぶときは電圧降下も確認する

許容電流を満足していれば、それだけで幹線サイズが決まるとは限りません。

もう一つ重要なのが電圧降下です。

電線には抵抗があるため、電流が流れると配線の途中で電圧が低下します。

特に、

電流が大きい・配線距離が長い・電線が細い

といった条件では、電圧降下が大きくなりやすくなります。

例えば、主幹ブレーカーから分電盤までの距離が5mの場合と100mの場合では、同じ負荷電流であっても条件は大きく異なります。

そのため幹線を選定するときは、許容電流を満足しているかと、電圧降下が許容範囲に収まっているかの両方を確認します。

許容電流では問題がなくても、電圧降下が大きい場合には、電圧降下を抑えるために一段以上太い電線・ケーブルを採用することがあります。

電圧降下を確認する

13.「負荷容量」「負荷電流」「ブレーカー」「幹線」を混同しない

負荷計算から幹線選定までを理解するうえで大切なのが、それぞれの役割を分けて考えることです。

負荷容量(W・VA)は、建物や機器がどの程度の電力を必要とするのかを表します。

負荷電流(A)は、その負荷を使用したときにどの程度の電流が流れるのかを表します。

ブレーカーは、回路や電線を過電流などから保護するための機器です。

幹線は、その電流を安全に送るための主要な電線・ケーブルです。

全体の流れをまとめると、

機器を確認する

↓

負荷種類を分類する

↓

負荷種類に応じて負荷容量を計算する

↓

需要率などを考慮して集計する

↓

WからAへ変換する

↓

ブレーカーを選定する

↓

許容電流を確認して幹線を選定する

↓

電圧降下を確認する

となります。

「建物の負荷が20kWだから○Aのブレーカー、○sqのケーブル」と一気に決めるのではなく、途中で電源方式、電圧、力率、需要率、負荷の種類、電線の許容電流、施工方法、配線距離、電圧降下などを順番に確認することが重要です。

負荷容量・ブレーカー・幹線を計算する

まとめ|負荷容量 → 電流A → ブレーカー → 幹線の順番で考える

建物の負荷計算から幹線選定までを整理すると、最初に行うのは建物で使用する機器を確認することです。

次に、それぞれを一般負荷・加熱負荷・電動機負荷・溶接機負荷などに分類します。

負荷を分類する理由は、負荷の種類によって負荷容量の求め方が異なるためです。

一般負荷や加熱負荷では消費電力を基準にし、電動機では定格出力と効率を確認する場合があります。溶接機では計算目的によって使用率などを考慮します。

さらに、すべての設備が同時に最大使用されるとは限らないため、必要に応じて需要率を考慮し、建物の想定負荷を求めます。

そして、

機器の確認

→ 負荷の分類

→ 負荷容量の計算

→ 需要率等を考慮

→ 負荷の集計

→ 電流Aの計算

→ ブレーカー選定

→ 幹線選定

→ 電圧降下確認

という順番で進めます。

言い換えると、

「どれだけ電気を使うのか?」

→「何A流れるのか?」

→「どのブレーカーで保護するのか?」

→「どの幹線なら安全に電気を送れるのか?」

という流れです。

この関係を理解すると、負荷容量、ブレーカー、幹線がそれぞれ独立した計算ではなく、一つにつながった電気設備設計の流れとして理解しやすくなります。

負荷容量・ブレーカー・幹線を計算する

なお、実際の設計・施工では、電気設備の技術基準とその解釈、内線規程、メーカー資料、電力会社の供給条件などを確認し、現場条件に合わせて判断する必要があります。特に電動機や溶接機、大容量設備を含む場合は、単純な計算式だけで最終的なブレーカー容量や電線サイズを決定せず、適用される規程や機器仕様を確認してください。

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