用語・基礎の解説

電圧降下とは?分かりやすく原因・計算方法・電線サイズとの関係を解説

「電圧降下」という言葉を聞いたことがあっても、

最終更新: 2026-09-02

目次

「なぜ電圧が下がるの?」

「何が問題なの?」

「電線サイズとどう関係するの?」

と疑問に感じることも多いのではないでしょうか。

電圧降下を簡単にいうと、「電線に電流が流れることによって、電源側より負荷側の電圧が低くなる現象」です。

電気設備の設計では、負荷容量だけを見て電線を選べばよいわけではありません。

基本的には、

負荷を確認する

設計電流を求める

ブレーカーを選定する

許容電流を確認して電線サイズを選定する

電圧降下を計算する

必要であれば電線サイズを大きくする

という流れで考えます。

この記事では、この一連の流れの中でも「電圧降下」に焦点を当てて分かりやすく解説します。

1.電圧降下とは?

電圧降下とは、電線に電流が流れたとき、電線の抵抗などによって電圧が低下する現象です。

例えば、分電盤から100Vで送り出し、負荷までの電線で2Vの電圧降下が発生したとします。

単純なイメージでは、

100V − 2V = 98V

となり、負荷側へ届く電圧は98Vになります。

「電線は電気を通すものなのに、なぜ電圧が下がるの?」と思うかもしれません。

ここで重要なのが、電線にも電気抵抗があるということです。

銅は電気を非常によく通す材料ですが、抵抗が完全にゼロというわけではありません。

そのため、電線に電流を流すと、その抵抗によって電圧降下が発生します。

まず、「電線にも抵抗があるため、電流を流すと途中で電圧が少し下がる」と覚えておくとよいでしょう。

電圧降下を計算する

分電盤100Vから電線で2Vの電圧降下が発生し負荷側98Vになる仕組みの図解

2.電圧降下を水の流れに例えてみよう

電圧降下をイメージするために、電気を「水の流れ」に置き換えて考えてみましょう。

大まかなイメージとして、

電圧 → 水を押し出す圧力(水圧)

電流 → 流れる水の量

電線 → 水が流れる配管

電線の抵抗 → 水の流れにくさ

と考えます。

例えば、水道管の入口では十分な水圧があっても、長い配管を通って蛇口まで水を送ると、配管の抵抗によって入口側と出口側に圧力の差が生じます。

電気でも似たようなイメージで考えることができます。

分電盤から送り出した電気が電線を通って負荷へ向かう途中で、電線が持つ抵抗によって電圧が低下します。

もちろん水と電気は実際には異なる現象なので、完全に同じものではありません。

しかし、「電線には電気の流れを妨げる抵抗があり、その影響によって電圧が下がる」という基本を理解するには、水道管のイメージが役立ちます。

電圧を水圧、電流を水量、電線を水道管に例えて電圧降下を説明する比較図

3.なぜ電圧降下を確認する必要があるの?

「100Vが98Vになる程度なら問題ないのでは?」と思うかもしれません。

しかし、電圧降下が大きくなりすぎると、負荷に必要な電圧を確保できなくなる可能性があります。

例えば、

  • 照明の明るさに影響する
  • 機器が正常に動作しない
  • モーターの性能に影響する
  • 機器の起動に影響する

などの問題につながる可能性があります。

つまり電線は、「必要な電流を安全に流せればよい」だけではありません。

負荷まで電気を届けたときに「必要な電圧も確保できているか」を確認する必要があります。

そのために行うのが電圧降下の計算です。

電圧降下を計算する

4.電圧降下は「負荷 → ブレーカー → 電線」の後に確認する

電圧降下だけを単独で覚えるのではなく、電気設備を設計する全体の流れの中で理解しましょう。

基本的には、

① 負荷を確認する

② 設計電流を求める

③ ブレーカーを選定する

④ 電線・ケーブルの種類を決める

⑤ 許容電流を確認する

⑥ 電線サイズを仮決定する

⑦ 電圧降下を計算する

⑧ 問題があれば電線を太くして再計算する

という流れで考えます。

ポイントは、電圧降下を計算する前に、ある程度の電線サイズが決まっていることです。

なぜなら、電圧降下は電線の太さによって変わるからです。

負荷確認からブレーカーと電線を選定し電圧降下を計算するまでの流れを示したフローチャート

負荷やブレーカー、許容電流については、それぞれ別のページで計算が可能です。

想定負荷を計算する集合住宅の想定負荷を計算する許容電流量を確認する

5.STEP1 負荷を確認する

最初に確認するのは接続する負荷です。

例えば、

100V・2,000W

の電熱器があったとします。

単純な抵抗負荷として考えると、

電流 I = 電力 P ÷ 電圧 V

なので、

2,000W ÷ 100V = 20A

となります。

つまり、この負荷には約20Aの電流が流れることになります。

電圧降下を考えるうえでも「何A流れるのか」は非常に重要です。

なぜなら、流れる電流が大きいほど、電圧降下も大きくなりやすいからです。

なお、三相負荷やモーターなどでは力率や効率なども関係するため、単純にP÷Vでは求められない場合があります。

6.STEP2 ブレーカーを選定する

設計電流を確認したら、次にブレーカーを選定します。

ブレーカーは、過電流などが発生したときに回路を遮断し、電線や設備を保護する重要な機器です。

初心者の方はまず、

負荷電流 ≦ ブレーカー定格電流 ≦ 電線の許容電流

という基本的な関係をイメージすると分かりやすいでしょう。

例えば、

負荷電流:25A

ブレーカー:30A

電線の許容電流:35A

なら、

25A ≦ 30A ≦ 35A

という関係になります。

ただし、実際の選定条件は幹線・分岐回路・電動機回路などによって異なります。

ここで重要なのは、ブレーカーを選定し、それに対応する電線を検討した後に、さらに電圧降下まで確認するという流れです。

7.STEP3 許容電流から電線サイズを選定する

ブレーカーの候補が決まったら、電線・ケーブルの種類や施工条件を確認し、許容電流から電線サイズを検討します。

例えば、

  • VVF
  • IV
  • CV
  • CVT

など、使用する電線・ケーブルによって条件が異なります。

さらに施工方法や周囲温度、複数の電線をまとめて施工するかなどによっても放熱条件が変わります。

そのため、許容電流は電線の太さだけで判断するのではなく、電線種類や施工条件を含めて確認します。

ここで決まった電線サイズは「許容電流から見て必要なサイズ」であり、まだ最終決定とは限りません。

次に電圧降下を確認します。

8.STEP4 電圧降下を計算する

電線サイズを仮決定したら、電圧降下を確認します。

電気の基本であるオームの法則は、

V = I × R

です。

V:電圧

I:電流

R:抵抗

電圧降下についても基本的には、

電圧降下 = 電流 × 回路の抵抗

というイメージで考えられます。

例えば、回路の抵抗を仮に0.1Ω、流れる電流を20Aとすると、

20A × 0.1Ω = 2V

となります。

100Vの電源なら、単純化すると、

100V − 2V = 98V

となります。

実際の交流回路では、配線方式や力率、抵抗、リアクタンスなども関係します。

「電流が電線の抵抗を通ることで電圧降下が発生する」という基本を理解しましょう。

電圧降下を計算する

電流20Aと回路抵抗0.1Ωから2Vの電圧降下が発生する計算例の図解

9.電圧降下を左右する3つのポイントを水で考える

ここが電圧降下を理解するうえで特に重要な部分です。

次の3つを覚えてください。

  • 電流が大きいほど、電圧降下は大きくなりやすい
  • 電線が長いほど、電圧降下は大きくなりやすい
  • 電線を太くすると、電圧降下を小さくできる

これを水の流れでイメージしてみましょう。

① 電流が大きいほど電圧降下は大きくなりやすい

電流を「流れる水の量」と考えてみます。

同じ配管を使って少ない量の水を流す場合と、多くの水を流す場合をイメージしてください。

たくさんの水を流そうとすると、配管の抵抗による圧力の損失が大きくなります。

電気も同じようなイメージです。

同じ電線・同じ距離なら、流れる電流が大きくなるほど電圧降下も大きくなります。

式でも、

V = I × R

なので、抵抗Rが同じなら電流Iが大きくなるほど電圧降下Vも大きくなります。

② 電線が長いほど電圧降下は大きくなりやすい

次に水道管の長さを考えてみましょう。

短い配管と非常に長い配管では、長い配管の方が水が配管と接する距離も長くなり、流れに対する抵抗が大きくなります。

電線も同じように、長くなるほど電気抵抗が大きくなります。

そのため、分電盤から負荷まで5mの場合と、分電盤から負荷まで100mの場合では、同じ電線サイズ・同じ電流でも電圧降下が変わります。

これが長距離配線で電圧降下に注意する理由です。

③ 電線を太くすると電圧降下を小さくできる

最後に配管の太さを考えてみます。

細いホースと太い配管に同じように水を流す場合、太い配管の方が水を流しやすくなります。

電線も同じようなイメージで、電線の断面積を大きくすると抵抗が小さくなります。

つまり、

細い電線 → 抵抗が大きい → 電圧降下が大きくなりやすい

太い電線 → 抵抗が小さい → 電圧降下を小さくできる

という関係です。

「たくさん流す・長くする・細くするほど厳しくなる」と覚えると、電圧降下の特徴をイメージしやすいでしょう。

電圧降下を計算する

電流が大きい、電線が長い、電線が細いほど電圧降下が大きくなることを水道管で例えた図

10.「許容電流OK=電線サイズ決定」ではない

ここは非常に重要です。

許容電流を確認して、「この電線サイズで大丈夫」となっても、配線距離が非常に長ければ電圧降下が大きくなる可能性があります。

つまり、許容電流はOKでも、電圧降下はNGという場合があります。

その場合には、許容電流上は必要なくても、電線サイズを一段またはそれ以上太くすることを検討します。

電線を太くすると抵抗が小さくなるため、電圧降下を抑えられるからです。

ここでも水道管を思い浮かべると分かりやすいでしょう。

遠くまで大量の水を送りたいのに、細くて長い配管を使用すれば圧力の損失が大きくなります。

そこで配管を太くします。

電線も同様のイメージで考えると、「長距離配線だから電線を太くする」という設計の理由が理解しやすくなります。

許容電流は問題なくても電圧降下が大きい場合は電線を太くして再計算する選定フロー

11.電圧降下率とは?

実務では、電圧降下を「何V下がったか」だけでなく、割合で考えることもあります。

これが「電圧降下率」です。

基本的な考え方は、

電圧降下率(%)= 電圧降下(V)÷ 基準となる電圧(V)×100

です。

例えば100Vの回路で2Vの電圧降下が発生したとすると、

2V ÷ 100V × 100 = 2%

となります。

つまり、電圧降下率は2%です。

実際の設計では、内線規程などに示される考え方を確認しながら、幹線・分岐回路・配線長などの条件に応じて検討します。

特定の数字だけを丸暗記するのではなく、「電圧降下には基準があり、回路や配線条件に応じて確認する」と覚えておきましょう。

12.初心者が間違えやすいポイント

「許容電流を満たせば電線サイズは決定」

許容電流と電圧降下は別の確認項目です。

許容電流を満たしていても、長距離配線などでは電圧降下によって電線を太くする場合があります。

「距離だけを見ればよい」

電圧降下には、配線距離だけでなく電流や電線サイズなども関係します。

電流・距離・電線サイズ

をセットで考えることが重要です。

「電圧降下だけで電線サイズを決める」

電線サイズは電圧降下だけでは決められません。

許容電流や施工条件、ブレーカーとの保護関係などを確認したうえで、電圧降下も確認します。

13.まとめ

電圧降下とは、「電線に電流が流れることによって、電源側より負荷側の電圧が低くなる現象」です。

水の流れをイメージして、

電圧 → 水圧

電流 → 流れる水の量

電線 → 水道管

電線の抵抗 → 水の流れにくさ

と置き換えると理解しやすくなります。

そして特に重要なのが、

  • 電流が大きいほど、電圧降下は大きくなりやすい
  • 電線が長いほど、電圧降下は大きくなりやすい
  • 電線を太くすると、電圧降下を小さくできる

という3つの関係です。

水道管で考えれば、

  • 大量の水を流すほど厳しくなる
  • 配管が長いほど厳しくなる
  • 配管を太くすると流しやすくなる

というイメージです。

そして実際の電気設備では、

負荷

設計電流

ブレーカー

電線の許容電流

電線サイズを仮決定

電圧降下を計算

必要なら電線を太くして再計算

その他の安全条件を確認

という流れで考えます。

特に、「許容電流ではOKでも、電圧降下ではNGになることがある」という点を覚えておきましょう。

許容電流は、「その電線に安全に電流を流せるか」を確認するものです。

電圧降下は、「選んだ電線で負荷まで必要な電圧を届けられるか」を確認するものです。

この違いが分かれば、なぜ許容電流を確認した後に電圧降下を計算し、場合によってはさらに太い電線を選ぶのかが理解しやすくなります。

注意書き

※本記事における水圧・水量・水道管を使った説明は、電圧・電流・電線抵抗の関係をイメージしやすくするための例えです。水と電気の物理現象が完全に同じという意味ではありません。

※実際の電気設備の設計・施工では、電気設備技術基準・その解釈、最新版の内線規程、使用機器やケーブルのメーカー仕様、電力会社の供給条件、実際の施工条件などを確認してください。