用語・基礎の解説
IV・VVF・CVの違いとは?電線・ケーブルの種類・略称・特徴をわかりやすく解説
読みたい場所にジャンプ
- 電線・ケーブルの基本構造|導体・絶縁体・シースとは?
- 導体とは?
- 絶縁体とは?
- シースとは?
- IV・HIVとは?シースを持たない「絶縁電線」
- IVとは何の略?
- HIVとは何の略?
- IVとHIVの違い
- IV・HIVはどこで使われる?
- VVF・VVRとは?シースを持つ「VVケーブル」
- VVFとは何の略?
- VVRとは何の略?
- VVFとVVRの違い
- CV・CVD・CVTとは?架橋ポリエチレンを使った「電力ケーブル」
- CVとは何の略?
- 架橋ポリエチレンとは?
- CVD・CVTとは何の略?
- CV・CVD・CVTの違い
- IV・VVF・CVの違いを比較
- エコケーブルとは?従来の電線・ケーブルとの違い
- EMとは何の略?
- EM-IE/Fとは?
- EM-EEF/Fとは?
- EM-CE/F・EM-CED/F・EM-CET/Fとは?
- IVとEM-IE/Fの違い
- VVFとEM-EEF/Fの違い
- CVとEM-CE/Fの違い
- 電線・ケーブルによる施工方法の違い
- IV・HIVの施工方法
- VVF・VVRの施工方法
- CV・CVD・CVTの施工方法
- なぜ電線・ケーブルによって許容電流が違う?
- IV・HIV・VVF・VVR・CV・CVD・CVTの違い一覧
- まとめ|名称の意味と3グループをセットで理解する
- 実際に電線・ケーブルを選定・施工する場合の注意点
IV、HIV、VVF、VVR、CV、CVD、CVT。電気工事ではさまざまな電線・ケーブルが使用されます。
それぞれ名称が似ていますが、構造や絶縁材料、耐熱性能、施工方法、主な用途などに違いがあります。
一つずつ個別に覚えるよりも、まずは次の3つのグループに分けると、それぞれの違いを整理しやすくなります。

まずはこの大きな違いを押さえたうえで、それぞれの名称の意味や構造、特徴を詳しく見ていきましょう。
電線・ケーブルの基本構造|導体・絶縁体・シースとは?
電線やケーブルの違いを理解するうえで、最初に押さえておきたいのが「導体」「絶縁体」「シース」です。
一般的なケーブルを簡単に表すと、「導体 」→ 「絶縁体 」→ 「シース」という構造になっています。

導体とは?
導体は、実際に電気が流れる金属部分です。
電力用の電線・ケーブルでは銅が広く使用されています。
電線の被覆をむいたときに出てくる銅色の部分が導体です。
一般的には導体の断面積が大きくなるほど電気抵抗が小さくなり、より大きな電流を流せるようになります。
絶縁体とは?
絶縁体は、電気が外へ漏れないように導体を直接覆っている部分です。
例えば、2本の銅線がむき出しの状態で接触すれば短絡(ショート)してしまいます。
そこで、
銅導体
↓
絶縁体で覆う
ことで、隣の電線や金属部分などへ電気が流れないようにしています。
絶縁体には、
- ビニル
- 耐熱ビニル
- ポリエチレン
- 架橋ポリエチレン
など、さまざまな材料があります。
この絶縁体の材質によって耐えられる温度が異なるため、許容電流を考えるうえでも非常に重要な部分です。
シースとは?
シースは、絶縁体やケーブル内部をさらに外側から守る保護カバーです。
例えばVVFを見ると、
銅導体
↓
絶縁体
↓
外側の灰色の被覆
という構造になっています。
この一番外側の灰色の部分がシースです。
絶縁体が主に「電気を外へ漏らさない」役割を持つのに対して、シースは、
- 絶縁体を傷から守る
- ケーブル内部を保護する
- 外部からの影響を受けにくくする
といった役割を持っています。
簡単に整理すると、
導体=電気を流す
絶縁体=電気を外へ漏らさない
シース=ケーブルを外側から守る
という違いです。
IV・HIVとは?シースを持たない「絶縁電線」

IVとHIVの大きな特徴は、シースを持たないことです。
構造は、「銅導体 」→ 「絶縁体」となっており、VVFやCVのように、その外側をさらに覆うシースがありません。
このような電線を「絶縁電線」と呼びます。
IVとは何の略?
IVは正式には「600Vビニル絶縁電線」と呼ばれる電線です。
IVについては「Indoor Vinyl(屋内用ビニル)」などとして説明されることがあります。
名称を覚える際は、
I=Indoor(屋内)
V=Vinyl(ビニル)
と関連付けると、IVが屋内配線などで使用されるビニル絶縁電線であることをイメージしやすくなります。
ただし、IVについては資料によって英語表記の説明に違いがあるため、英語の正式名称としてではなく、電線の種類を表す記号として理解しておくのがよいでしょう。
HIVとは何の略?
HIVは正式には「600V二種ビニル絶縁電線」と呼ばれます。
IVより耐熱性を高めたビニル絶縁電線で、名称の「H」はHeat-resistant(耐熱)と関連付けると特徴を覚えやすくなります。
つまり、
IV=一般的なビニル絶縁電線
HIV=IVより耐熱性を高めたビニル絶縁電線
という関係です。
IVとHIVの違い
IVとHIVの主な違いは、絶縁体の耐熱性能です。

IVの絶縁体許容温度は60℃、HIVは75℃です。
絶縁体が高い温度まで耐えられると、同じ導体サイズ・同等の施工条件では、より大きな許容電流を取れる場合があります。
IV・HIVはどこで使われる?
IVやHIVはシースを持たないため、電線管などの施工方法と組み合わせて使用されます。
例えば、「電線管の中に収める」「電線管によって外部から電線を保護する」という使い方です。
主に、
- 電線管配線
- 線ぴ配線
- ダクト内配線
- 盤内配線
などで使用されます。
管内に複数の電線を収める場合は、電線同士の発熱によって熱がこもりやすくなるため、許容電流を考える際には管内の電線数も重要になります。
VVF・VVRとは?シースを持つ「VVケーブル」
VVF・VVRとIV・HIVの大きな違いは、シースがあることです。
絶縁体によって導体同士を電気的に絶縁し、その外側をシースで保護しています。
そのためVVF・VVRは「絶縁電線」ではなくケーブルに分類されます。
VVFとは何の略?
VVFは、
V=Vinyl insulated:ビニル絶縁
V=Vinyl sheathed:ビニルシース
F=Flat:平形
となります。
つまりVVFという名称自体が、「ビニルで絶縁し、その外側をビニルシースで覆った平たいケーブル」という構造を表しています。
正式名称の「600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形」と照らし合わせると分かりやすくなります。
VVRとは何の略?
VVRも基本的な考え方はVVFと同じです。
V=Vinyl:ビニル絶縁
V=Vinyl:ビニルシース
R=Round:丸形
と整理できます。
つまり、
VVF=ビニル+ビニル+Flat(平形)
VVR=ビニル+ビニル+Round(丸形)
です。
最後のFとRに注目すると、ケーブル形状の違いをイメージしやすくなります。
VVFとVVRの違い
VVFとVVRは材料構成がよく似ています。
大きな違いはケーブルの形状です。

VVFは線心が横方向に並んだ平たい形をしています。
住宅や小規模店舗では、
- 照明
- コンセント
- 住宅用エアコン
- その他の屋内配線
などで非常によく使用されます。
VVRは線心を丸形にまとめた構造です。
つまり、VVFとVVRは絶縁体やシースの材料が大きく違うのではなく、主にケーブルの形状・構造が違うと考えると分かりやすくなります。
CV・CVD・CVTとは?架橋ポリエチレンを使った「電力ケーブル」
CV系とVVF・VVRの大きな違いは、絶縁体の材質です。

VVF・VVRではビニル絶縁体を使用します。
一方、CV系では「架橋ポリエチレン」という材料を絶縁体に使用します。
基本的なCVの構造は、「銅導体」→ 「架橋ポリエチレン絶縁体」 → 「ビニルシース」です。
CVとは何の略?
CVは、
C=Cross-linked polyethylene(架橋ポリエチレン)
V=Vinyl(ビニル)
と関連付けると構造を理解しやすくなります。
正式名称は「架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル」です。
架橋ポリエチレンとは?
架橋ポリエチレンとは、簡単にいうとポリエチレンの分子同士を結び付け、耐熱性を高めた材料です。
ポリエチレンに「架橋」という処理を行うことで、高温でも絶縁性能などを維持しやすくなります。
このため、CV系の絶縁体許容温度は一般に90℃です。
この耐熱性の高さなどから、CV系は、
- 建物の幹線
- 分電盤への電源供給
- 動力回路
- モーター
- ポンプ
- 業務用空調設備
- 工場設備
などで広く使用されています。
CVD・CVTとは何の略?
CVD・CVTは、CVを基本としたケーブルです。
後ろに付いている「D」「T」が構造の違いを表しています。
CVDのD=Duplex(2個より)
CVTのT=Triplex(3個より)
です。
そのため、
CVD=単心CVを2条より合わせたもの
CVT=単心CVを3条より合わせたもの
と整理できます。
CV・CVD・CVTの違い
CV、CVD、CVTは、絶縁体の種類が大きく違うわけではありません。
主な違いはケーブルの構造です。

CVには単心、2心、3心、4心などがあります。
ここでいう「心(しん)」とは、簡単にいえば「絶縁された導体の本数」です。
例えば3心CVなら、3本の絶縁線心をまとめて一つのシースで覆うという構造です。
一方、CVDは、
単心CV+単心CV=CVD(Duplex)
という2条よりの構造です。
CVTは、
単心CV+単心CV+単心CV=CVT(Triplex)
という3条よりの構造です。
同じ架橋ポリエチレン絶縁でも構造が違えば放熱状態なども変わるため、許容電流にも違いが生じます。
IV・VVF・CVの違いを比較
ここまでの3グループを整理すると、次のようになります。

エコケーブルとは?従来の電線・ケーブルとの違い
次にエコケーブルについて見ていきます。
エコケーブルは、単純に「廃材をリサイクルして作ったケーブル」という意味ではありません。
一般にEM(Eco-Material)電線・ケーブルと呼ばれ、環境への負荷を小さくすることを考えて材料を変更した電線・ケーブルです。
EMとは何の略?
EMはEco-Material(エコマテリアル)を表します。
つまりEMという記号が付いた電線・ケーブルは、環境に配慮した材料を使用した電線・ケーブルという点が大きな特徴です。
代表的な対応関係は次のようになります。

EM-IE/Fとは?
EM-IE/Fは屋内用耐燃性ポリエチレン絶縁電線です。
IVに対するEM系の絶縁電線として整理すると分かりやすくなります。
IVがビニル絶縁なのに対して、EM-IE/Fでは耐燃性ポリエチレン系の絶縁材料を使用します。
EM-EEF/Fとは?
EM-EEF/Fは、VVFに対応する代表的なEMケーブルです。
大きな違いは使用する被覆材料です。
VVFが、ビニル絶縁+ビニルシース+平形なのに対して、EM-EEF/Fでは、ポリエチレン系絶縁+耐燃性ポリエチレンシース+平形という構成になります。
EM-CE/F・EM-CED/F・EM-CET/Fとは?
CV系にもEMケーブルがあります。
EM-CE/F=CVに対応
EM-CED/F=CVDに対応
EM-CET/F=CVTに対応します。
IVとEM-IE/Fの違い
IVはビニル絶縁で、絶縁体許容温度は60℃です。
EM-IE/Fでは耐燃性ポリエチレン系の絶縁体を使用し、75℃です。
つまり、
IV:60℃
↓
EM-IE/F:75℃
となります。
環境性能だけではなく、絶縁体の耐熱性能にも違いがあります。
VVFとEM-EEF/Fの違い
VVFはビニル絶縁で60℃です。
EM-EEF/Fではポリエチレン系絶縁体を使用し、75℃です。
つまり、
VVF:60℃
↓
EM-EEF/F:75℃
です。
そのため、VVFからEM-EEF/Fへの変更は、単純にシースの材料だけを環境配慮型に変更したものではありません。
絶縁体の材料と耐熱性能にも違いがあります。
CVとEM-CE/Fの違い
CV系はIV・VVF系とは少し違います。
CVは、
銅導体
↓
架橋ポリエチレン絶縁体
↓
ビニルシース
です。
EM-CE/Fは、
銅導体
↓
架橋ポリエチレン絶縁体
↓
耐燃性ポリエチレンシース
です。
つまり、CVからEM-CE/Fに変わっても、導体を直接覆っている絶縁体はどちらも架橋ポリエチレンです。
主に変わるのは外側のシース材料です。
そのため、
CV:90℃
EM-CE/F:90℃
と、絶縁体許容温度は基本的に同じです。
CVDとEM-CED/F、CVTとEM-CET/Fについても同じ考え方です。
整理すると、
IV・VVF系
→ EM化すると絶縁材料も変わり、耐熱温度にも違いが出る
CV系
→ 絶縁体はもともと架橋ポリエチレンなので、主にシース材料が変わる
という違いがあります。
電線・ケーブルによる施工方法の違い
電線・ケーブルは構造が違うため、施工方法にも違いがあります。
IV・HIVの施工方法
IV・HIVはシースを持たないため、
- 電線管
- 線ぴ
- ダクト
- 盤内配線
などで使用されます。
管内に複数の電線を収めると熱がこもりやすくなるため、管内電線数による許容電流の低減も考える必要があります。
VVF・VVRの施工方法
VVF・VVRはシースを持つケーブルです。
特にVVFは、
- 照明回路
- コンセント回路
- 住宅用エアコン回路
- 天井裏配線
など、住宅や小規模店舗で非常によく使用されます。
天井裏でころがし配線する場合でも、周囲温度、ケーブル同士の密集状態、断熱材との接触などによって放熱状態が変わる点には注意が必要です。
CV・CVD・CVTの施工方法
CV系は幹線や動力などで使用されるため、
- 気中
- ケーブルラック
- 暗きょ
- 管路
- 地中
など、さまざまな布設方法があります。
同じ種類・同じ導体サイズのケーブルでも、どのように布設するかによって放熱条件が変わるため、許容電流も変わります。
なぜ電線・ケーブルによって許容電流が違う?
許容電流とは、簡単にいえばその電線・ケーブルに安全に流し続けられる電流の上限です。
電線に電流を流すと導体が発熱します。
発生する熱は基本的に、
P=I²R
で考えられます。
電流が大きくなるほど発熱が増え、導体温度も上昇します。
そこで、
- 導体サイズ
- 絶縁体の耐熱温度
- ケーブル構造
- 周囲温度
- 施工方法
- 管内電線数
- ケーブルの条数
- 放熱状態
などを考慮して許容電流を判断します。
例えば、
IV=60℃
HIV=75℃
なので、同じ導体サイズ・同等の条件ならHIVの方が熱的な余裕があります。
また、
VVF=60℃
EM-EEF/F=75℃
でも同様です。
一方、
CV=90℃
EM-CE/F=90℃
なので、エコケーブルだから必ず絶縁体許容温度が高くなるわけではありません。
IV・HIV・VVF・VVR・CV・CVD・CVTの違い一覧
最後に、名称の意味も含めて全体を整理します。

まとめ|名称の意味と3グループをセットで理解する
電線・ケーブルの種類は多くありますが、それぞれを個別に覚えるよりも、まず大きなグループに分けると整理しやすくなります。
IV・HIV
=導体+絶縁体。シースなし
VVF・VVR
=導体+ビニル絶縁体+ビニルシース
CV・CVD・CVT
=導体+架橋ポリエチレン絶縁体+シース
という3つのグループです。
さらに名称の意味と一緒に見ると、
VVF
=Vinyl・Vinyl・Flat
=ビニル絶縁+ビニルシース+平形
VVR
=Vinyl・Vinyl・Round
=ビニル絶縁+ビニルシース+丸形
CV
=Cross-linked polyethylene+Vinyl
=架橋ポリエチレン絶縁+ビニルシース
CVD
=CV+Duplex
=単心CVを2条より
CVT
=CV+Triplex
=単心CVを3条より
というように、名称と構造の関係も見えてきます。
エコケーブルについても、
EM=Eco-Material
という基本を押さえたうえで、
IV・VVF系では絶縁材料の変更によって耐熱性能にも違いが出る
CV系ではもともと架橋ポリエチレン絶縁なので、主にシース材料が変わる
という違いを理解しておくと、それぞれの特徴を整理しやすくなります。
実際に電線・ケーブルを選定・施工する場合の注意点
この記事では、IV・HIV・VVF・VVR・CV・CVD・CVTやエコケーブルについて、それぞれの違いを理解しやすいように一般的な特徴や代表的な数値を紹介しています。
また、名称についても構造や特徴と関連付けて分かりやすく説明していますが、電線・ケーブルの記号は規格上の種類を表す記号でもあり、すべてを単純な英単語の頭文字として説明できるわけではありません。
実際に使用できる電線・ケーブルの種類や許容電流についても、導体サイズだけで決まるものではありません。
周囲温度、布設方法、電線・ケーブルの本数や条数、管路・ラック・地中などの布設環境、断熱材の影響、使用する製品の仕様など、さまざまな条件によって変わります。
また、同じ種類の電線・ケーブルでも、規格や製品仕様によって構造や適用条件が異なる場合があります。
そのため、この記事に記載している内容や数値だけで実際の電線・ケーブルを選定しないでください。
実際に設計・選定・施工を行う際は、最新の法令・規格・内線規程・日本電線工業会規格(JCS)・使用する電線メーカーの仕様書や技術資料などを確認し、実際の使用条件に適した電線・ケーブルを選定してください。

