用語・基礎の解説
電線管サイズの選び方とは?電線サイズ・本数との関係や選定手順を解説
電線管を施工するとき、
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- 1.そもそも電線管とは?
- 2.電線管サイズは電気工事のどの段階で決める?
- 3.なぜ電線サイズを決めてから電線管を選ぶの?
- 4.なぜ電圧降下の確認後に電線管サイズを決めるの?
- 5.電線管サイズ選定で確認する基本項目
- 6.「入るかどうか」だけで決めてはいけない
- 7.電線管の太さは「呼び」で表される
- 8.電線が増えると必要な電線管サイズも変わる
- 9.電線管と許容電流には関係がある
- 10.電線管は大きければ大きいほどいい?
- 11.曲がりが多い配管では施工性にも注意する
- 12.電線管サイズ選定で間違えやすいポイント
- 間違い①「電線が入ればOK」
- 間違い②「電線サイズだけで電線管サイズを決める」
- 間違い③「電線管は最後まで考えなくてよい」
- 間違い④「とりあえず大きな電線管なら安心」
- 13.電線管サイズ選定の基本手順
- 14.まとめ
「電線管の太さはどうやって決めるの?」
「電線が入れば何でもいいの?」
「電線サイズが決まったら、すぐ電線管を決めていいの?」
と疑問に感じることもあるのではないでしょうか。
電線管にはさまざまな種類やサイズがありますが、適当に選ぶものではありません。
基本的には、
「何の電線を、何本収めるのか」
を確認し、その条件に合った電線管を選定します。
ただし、電線管サイズだけを単独で考えるのではなく、
負荷 → ブレーカー → 電線 → 電圧降下 → 電線管
という電気設備全体の流れの中で考えることも重要です。
この記事では、電線管サイズをどのような考え方で選定するのか、基本から分かりやすく解説します。
1.そもそも電線管とは?
電線管とは、その名前のとおり、電線を収めて配線するために使用する管です。
例えば、建物の壁や天井、床、屋外などに電線をそのまま施工するのではなく、電線管の中へ電線を通して施工する方法があります。
電線管を使用することで、施工条件に応じて電線を機械的な損傷などから保護できます。
代表的なものには、
- 金属管
- 合成樹脂管
- 可とう電線管
などがあります。
それぞれ特徴や使用できる場所、施工方法などが異なります。
この記事では各電線管の細かな違いよりも、
「使用する電線に対して、どのように電線管サイズを考えるのか」
という部分に焦点を当てます。
2.電線管サイズは電気工事のどの段階で決める?
まず、電線管サイズが電気工事全体のどこに位置するのかを確認しましょう。
基本的なイメージは、下の図の通りです。

この記事では電線管サイズについて説明します。
想定負荷の計算方法、許容電流、電圧降下については、それぞれ別の記事で詳しく解説しています。
ここで重要なのは、「最終的な電線サイズが決まった後に、その電線を収められる電線管を選ぶ」という基本的な流れです。
3.なぜ電線サイズを決めてから電線管を選ぶの?
理由は非常に単純です。
電線管サイズを決めるためには、
「何mm²の電線を何本入れるのか」
など、収める電線の条件が必要だからです。
例えば、同じ3本の電線を収める場合でも、細い電線と太い電線では必要となるスペースが違います。
また、
細い電線3本
と、
同じ細さの電線10本
でも必要なスペースは変わります。
つまり電線管サイズを考えるには、少なくとも、
電線・ケーブルの種類
電線のサイズ
収める本数
などを確認する必要があります。
そのため、電線サイズが決まっていない段階で最終的な電線管サイズを決めることはできません。

4.なぜ電圧降下の確認後に電線管サイズを決めるの?
ここは電線管サイズを選定するうえで、特に重要なポイントです。
許容電流から電線を選んだ段階では、電線サイズがまだ変更される可能性があります。
その理由の一つが「電圧降下」です。
例えば、許容電流を確認した結果、「この電線サイズなら必要な電流を流せる」となったとします。
しかし、配線距離が長い場合などには電圧降下を確認した結果、さらに太い電線が必要になることがあります。
つまり、
許容電流:OK
でも、
電圧降下:NG
となる場合があります。
この場合、
電線を太くする → 電圧降下を再計算する
という流れになります。
先に電線管サイズを決めてしまうと、電線を太くしたことで想定していた電線管では適切に収められなくなる可能性があります。
そのため、
電線サイズを仮決定
↓
電圧降下を確認
↓
最終的な電線サイズを決定
↓
電線管サイズを選定
という順番で考えると分かりやすいでしょう。

5.電線管サイズ選定で確認する基本項目
では、実際に電線管サイズを選定するときには何を確認すればよいのでしょうか。
まずは次の項目を整理すると分かりやすくなります。
① 電線管の種類
② 収める電線・ケーブルの種類
③ 電線・ケーブルのサイズ
④ 収める本数
⑤ 適用する施工条件・規定
です。
例えば、
「電線は5.5mm²だから、この電線管」
というように、電線の太さだけを見て決めるものではありません。
同じ電線サイズでも、本数が増えれば電線管内で必要になるスペースは大きくなります。
反対に、本数が少なければ条件は変わります。
したがって、
「電線サイズ+本数+電線管や施工の条件」
をセットで考えることが基本です。
6.「入るかどうか」だけで決めてはいけない
電線管サイズを選定するときに特に注意したいのが、
「実際に入りそうだから、この電線管で大丈夫」
という考え方です。
電線管の中に物理的に電線が入ることと、適切な施工ができることは同じではありません。
電線を無理に詰め込むと、
- 電線を通しにくくなる
- 引入れ作業が難しくなる
- 電線を傷める原因になる
- 曲がり部分などで施工しにくくなる
- 将来の電線の引替えが難しくなる
といった問題につながります。
そのため、
「管の中に入るか」ではなく、「規定や施工条件に合った状態で収められるか」
という視点が重要です。
実際の選定では、使用する電線管や電線の種類に応じて、最新版の内線規程などで該当する条件を確認します。

7.電線管の太さは「呼び」で表される
電線管を選ぶときに知っておきたいのが「呼び」です。
現場では、
「この配管は何ミリ?」
という言い方をすることもありますが、電線管には種類ごとに呼びがあります。
ここで注意したいのが、
「呼びの数字=そのまま実際の内径」
とは限らないことです。
電線管には管そのものの厚さがあります。
また、電線管の種類によって寸法体系も異なります。
そのため、
「この電線が○mmだから、管は○mm以上なら入るだろう」
という単純な考え方では選定できません。
使用する電線管の規格や寸法を確認したうえで、適切なサイズを選定する必要があります。
8.電線が増えると必要な電線管サイズも変わる
電線管サイズを理解するときは、電線管の断面をイメージすると分かりやすくなります。
例えば、丸い電線管の中へ電線を3本入れる場合を考えてみましょう。
電線が細ければ比較的余裕があります。
しかし、同じ電線管に、
3本
↓
5本
↓
10本
と電線を増やしていけば、管内の空きスペースはどんどん少なくなります。
また、電線そのものを太くした場合も同じです。
つまり、
電線が太くなる → 必要なスペースが増える
電線の本数が増える → 必要なスペースが増える
という関係があります。
まずは、
「太い電線をたくさん入れるほど、大きな電線管が必要になりやすい」
という基本的な関係を押さえておくと、電線管サイズを考えやすくなります。
9.電線管と許容電流には関係がある
ここは少し注意が必要です。
ここまで、
「電線サイズが決まってから電線管サイズを決める」
と説明しました。
しかし、電線管を使うという「施工方法」そのものは、もっと前の段階から検討する必要があります。
なぜなら、電線の許容電流は施工条件によって変わる場合があるからです。
複数の電線を同じ管路などへ収めると、単独で施工する場合と放熱条件が異なることがあります。
そのため、許容電流を確認するときには、「どのような方法で施工するのか」を想定しておく必要があります。
ここを整理すると、
電線管を使用するか、どのように配線するかという「施工方法」は電線選定の段階から検討する
一方、
最終的な「電線管サイズ」は、電線サイズや本数などが確定してから選定する
という関係です。
完全に、「電線を全部決める → 初めて電線管について考える」という意味ではないので注意してください。

10.電線管は大きければ大きいほどいい?
ここまで読むと、
「それなら最初から大きな電線管を選べばいいのでは?」
という疑問も出てきます。
確かに、電線管を大きくすれば管内に余裕ができ、電線を通しやすくなる場合があります。
しかし、
「大きければ大きいほどよい」
という考え方も適切ではありません。
電線管が大きくなれば、
- 材料費
- 支持金物などのサイズ
- 施工スペース
- 加工や施工のしやすさ
- 他設備との取り合い
などにも影響します。
天井内やシャフトなどでは、電気設備以外にも空調設備、給排水設備など多くの設備が施工されます。
必要以上に大きな電線管を選定すると、施工スペースやコストの面で不利になる場合があります。
したがって、
「必要な条件を満たす適切なサイズを選ぶ」
ことが基本です。
11.曲がりが多い配管では施工性にも注意する
電線管サイズを考えるときは、数字だけではなく実際の施工もイメージすることが大切です。
例えば、「一直線の短い電線管」と、「長距離で曲がりが多い電線管」では、電線を引き入れるときの施工性が違います。
電線管のサイズが規定上問題なくても、配管経路や曲がり方などによっては電線を通す作業が難しくなることがあります。
そのため実際の施工では、
- 配管距離
- 曲がり
- 電線の種類
- 電線の太さ
- 本数
- 引入れ方法
なども考える必要があります。
電線管サイズ選定は「計算や表だけを見て終わり」ではなく、「実際にその配管へ安全に電線を施工できるか」まで考えることが大切です。
12.電線管サイズ選定で間違えやすいポイント
間違い①「電線が入ればOK」
物理的に入ることと、適切な電線管サイズであることは同じではありません。
電線・電線管の種類、本数、サイズ、施工条件などを確認して選定します。
間違い②「電線サイズだけで電線管サイズを決める」
同じ太さの電線でも、3本入れる場合と10本入れる場合では条件が違います。
電線の種類・サイズ・本数
をセットで確認しましょう。
間違い③「電線管は最後まで考えなくてよい」
最終的な電線管サイズは電線サイズなどが確定してから選びますが、電線管を使用するという施工方法は許容電流などにも関係します。
施工方法自体は電線選定の段階から想定しておく必要があります。
間違い④「とりあえず大きな電線管なら安心」
必要以上に大きくすると、コストや施工スペースなどに影響します。
重要なのは最大サイズを選ぶことではなく、
条件に合った適切なサイズを選ぶこと
です。
13.電線管サイズ選定の基本手順
最後に、電線管サイズ選定だけに絞って流れを整理します。
① 使用する電線管の種類を確認する
↓
② 収める電線・ケーブルの種類を確認する
↓
③ 電線・ケーブルのサイズを確認する
↓
④ 何本収めるのか確認する
↓
⑤ 適用する規定・施工条件を確認する
↓
⑥ 必要な電線管サイズを選定する
↓
⑦ 配管経路や曲がりなど施工性を確認する
↓
⑧ 最終的な電線管サイズを決定する
この流れを押さえておけば、
「電線管のサイズは何を基準に決めるのか」
という疑問を整理しやすくなります。

14.まとめ
電線管サイズは、単純に「電線が入る太さを選ぶ」というものではありません。
基本となるのは、どの種類の電線を、どのサイズで、何本収めるのかを確認することです。
そして電気設備全体では、
負荷
↓
設計電流
↓
ブレーカー
↓
施工方法を検討
↓
許容電流から電線サイズを仮決定
↓
電圧降下を確認
↓
電線サイズを決定
↓
電線の種類・サイズ・本数などから電線管サイズを選定
という流れになります。
ここで重要なのは、「施工方法の検討」と「最終的な電線管サイズの決定」はタイミングが違うということです。
電線管を使用するかどうかなどの施工方法は、電線の許容電流を検討する段階から考えておく必要があります。
一方、最終的な電線管サイズについては、電圧降下などを確認して電線サイズが確定した後に選定します。
まず基本として、「電線を決める → 電線の種類・太さ・本数を確認する → それに合った電線管を選ぶ」という流れを押さえておきましょう。
そのうえで、「管に入ればOKではない」「電線の太さだけでは決めない」「本数も確認する」「施工性も確認する」というポイントが重要になります。
電線管は電線を安全に施工するための重要な設備です。
負荷やブレーカー、許容電流、電圧降下から決まった電線を、実際の建物の中でどのように安全に施工するのか。
その「施工へ落とし込む」部分の一つが、電線管サイズの選定だと考えると、電気工事全体の流れを理解しやすくなるでしょう。