用語・基礎の解説
ケーブルラックの種類と特徴|形状・材質の違いと使用場所・選び方を解説
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- 1.ケーブルラックとは?役割と電線管との違い
- 2.ケーブルラックの形状と特徴|はしご形・トレー形・メッシュ形
- はしご形ケーブルラック|幹線などの電力ケーブルに使用
- トレー形ケーブルラック|底板で細いケーブルを支える
- メッシュ形ケーブルラック|通信配線やルート変更に対応
- 形状ごとの特徴と使用場面の比較
- 3.ケーブルラックの材質と表面処理の違い
- スチール製|幅広い現場で使われる基本的な材質
- ステンレス製|水分や腐食への対策を重視する場所で検討
- アルミ製|軽量で搬入や取り付けがしやすい
- 樹脂製・FRP製|耐食性や耐薬品性が求められる場所で検討
- 4.ケーブルラックの使用場所と選定ポイント
- 5.ケーブルラックの曲がり・分岐部材と付属品
- 6.ケーブルラックのサイズ選定で確認すること
- ケーブルの本数・外径と将来の増設スペース
- ケーブルの重量・許容荷重と支持間隔
- ケーブルの放熱と許容電流
- 施工・点検・増設に必要な作業スペース
- 7.ケーブルラック施工時の注意点
- 金属製ラックの接地と電気的な接続
- ケーブルの固定とラック端部の保護
- 壁や床の防火区画を貫通する部分の処理
- 屋外カバーの浮き上がり・飛散対策
- 8.ケーブルラックの選び方と確認手順
- 9.本記事の利用にあたって
ビルの天井裏や工場などで、はしごのような金属製の部材に、何本ものケーブルが載っているのを見たことはないでしょうか。
これは「ケーブルラック」と呼ばれる、ケーブルを支えるための設備です。
ケーブルラックには、はしご形やトレー形などの形状があり、材質もスチール・ステンレス・アルミなどに分かれます。載せるケーブルと設置場所に合わせて、形状・材質・表面処理を選ぶことが基本です。
この記事では、ケーブルラックの種類ごとの特徴と使用場所、選定時に確認したいポイントを解説します。
1.ケーブルラックとは?役割と電線管との違い
ケーブルラックは、電力用や通信用のケーブルを並べ、配線ルートに沿って支えるための部材です。天井から吊り下げたり、壁に取り付けた支持金具に載せたりして設置します。
照明・空調・動力設備などへの配線が多い商業施設や工場、地下駐車場といった場所で使用されます。ケーブルをまとめて整理でき、点検や増設にも対応しやすいことが特徴です。
電線管との違いは、ケーブルの支え方にあります。
ケーブルラックは、ケーブルを上に載せて支える部材です。一方、電線管は、管の中に電線やケーブルを通して使用します。
ラックは開放された構造が基本なので、載せたケーブルが周囲から完全に保護されるわけではありません。接触や衝撃などへの対策が必要な場所では、カバーや別の配線方法も検討します。

2.ケーブルラックの形状と特徴|はしご形・トレー形・メッシュ形
形状の違いは、ケーブルをどのような面で支えるかに注目すると理解しやすくなります。
はしご形ケーブルラック|幹線などの電力ケーブルに使用
はしご形は、左右の長い部材を、一定間隔の横棒でつないだ形状です。左右の部材を「親桁」、横棒を「子桁」と呼びます。
底面の大部分が開いており、ケーブルの状態を確認しやすい構造です。ビルや工場の幹線など、太い電力ケーブルをまとめて配線する場面で代表的な選択肢になります。
ただし、細く柔らかいケーブルでは、子桁の間でたわむことがあります。ケーブルの種類によって、底面を補助する部材や、別の形状を検討します。
トレー形ケーブルラック|底板で細いケーブルを支える
トレー形は、底板と側面を備えた、お盆のような形状です。底板に穴を設けたものは、パンチング形などとも呼ばれます。
ケーブルを底面で受けるため、細いケーブルや小径ケーブルをまとめて支えたい場面で候補になります。
穴あきタイプは通気や排水を確保しやすく、穴なしタイプは底面の開口がないことが特徴です。ただし、底板があるだけで防水・防じん構造になるわけではありません。
メーカーによって形状の分類や名称が異なるため、「トレー」という呼び名だけで判断せず、製品図や仕様を確認しましょう。メーカーのラインアップにも、パンチング形や樹脂製トレー形などがあります。
メッシュ形ケーブルラック|通信配線やルート変更に対応
メッシュ形は、金属線を網目状に組み合わせた形状で、ワイヤーメッシュラックとも呼ばれます。
データセンターの通信配線や、機械・設備周辺の配線などで使用されます。開口が多く、配線の状態が見えやすいことが特徴です。
製品によっては、金属線の一部を切断し、現場で曲がりや分岐を作れます。配線ルートの変更に対応しやすい一方、加工方法や積載できる重量は製品ごとに確認が必要です。

形状ごとの特徴と使用場面の比較

これらは使い分けの目安です。「電力用は必ずはしご形」「通信用は必ずメッシュ形」という決まりではなく、荷重や施工条件も踏まえて選びます。
3.ケーブルラックの材質と表面処理の違い
材質を選ぶ際は、重さ・強度・腐食への強さなどを比較します。
ここで区別したいのが、材質は本体の材料、表面処理は表面を保護する仕上げという点です。たとえば、スチール製でも塗装品とめっき品があり、使用できる環境は同じとは限りません。
スチール製|幅広い現場で使われる基本的な材質
スチール製は、鋼を材料にしたケーブルラックです。一般的に広く使われており、サイズや付属品の選択肢も豊富です。
鋼は腐食するため、塗装や亜鉛めっきなどによって表面を保護します。主な仕上げには次のようなものがあります。

「スチール製だから屋内用」「めっき品ならどこでも屋外使用できる」とは判断できません。設置場所の湿気や塩分、薬品の有無などに合わせて仕上げを選びます。
ステンレス製|水分や腐食への対策を重視する場所で検討
ステンレス製は、水分や腐食への対策を重視する場合に候補となる材質です。水を使う工場や処理施設、海沿いの設備などでは、環境に適したステンレス鋼種の採用を検討します。
ただし、ステンレスも条件によって腐食します。特に塩分や薬品の影響がある場所では、鋼種・表面状態・維持管理まで含めた確認が必要です。
「ステンレスだから海沿いでも問題ない」と一律に考えず、メーカーに具体的な設置環境を伝えて選びましょう。
アルミ製|軽量で搬入や取り付けがしやすい
アルミ製は、軽量で扱いやすいことが特徴です。搬入や高所での取り付けなど、施工時の負担を減らしたい場面で候補になります。
一方、アルミ製でも腐食への配慮は必要です。異なる金属との接触部分では、水分などの条件によって腐食が進む場合があるため、指定された接続・支持方法を守ります。また、長い配線ルートでは温度変化による伸び縮みも考慮します。
樹脂製・FRP製|耐食性や耐薬品性が求められる場所で検討
樹脂製や、樹脂を繊維で補強したFRP製のケーブルラックもあります。
金属の腐食が課題になる場所や、耐薬品性などが求められる場所で検討されます。FRP製には、トンネル向けに開発された製品もあります。
ただし、樹脂の種類によって、耐熱性・耐候性・耐薬品性・燃焼に関する性能が異なります。「樹脂製」という分類だけでは使用可否を判断できません。
4.ケーブルラックの使用場所と選定ポイント
同じケーブルを載せる場合でも、設置場所が違えば選定条件は変わります。次の表は、製品選定の出発点となる考え方です。

特に屋外では、ラック本体だけでなく、ボルト・支持金具・カバーなども同じ環境にさらされます。本体だけ耐食性を高めても、周辺部材が先に傷めば設備全体の耐久性は確保できません。
5.ケーブルラックの曲がり・分岐部材と付属品
ケーブルラックは、直線部材だけで完成するわけではありません。曲がりや分岐、保護・固定のための部材を組み合わせます。

メーカーは、こうした分岐・接続・支持用の部材をシリーズごとに用意しています。ラック本体と適合する製品を組み合わせることが基本です。
曲がり部分では、ラックが納まるかに加え、ケーブルを無理なく曲げられるかも確認します。ケーブルには曲げ半径の条件があり、急に折り曲げるような配線はできません。

6.ケーブルラックのサイズ選定で確認すること
ケーブルラックを選ぶ際、「ケーブルが載る幅があればよい」と考えるのは不十分です。配列スペースに加え、荷重や放熱、作業スペースも確認します。
ケーブルの本数・外径と将来の増設スペース
まず、ケーブルの種類・外径・本数から、必要な配列スペースを確認します。
現在の配線だけで埋まる幅にすると、後から設備を増設しにくくなります。ただし、増設余裕の取り方を一律の割合で決めるのではなく、設計条件や仕様に合わせて計画します。
ケーブルの重量・許容荷重と支持間隔
幅が足りていても、載せるケーブルが重ければ、ラックや支持金具の許容荷重を超える場合があります。
また、ラックを支える間隔が広くなると、たわみや強度の条件も変わります。製品ごとの許容静荷重表を使い、ラック本体と支持部材の両方を確認します。
ケーブルの放熱と許容電流
電力ケーブルは、通電すると熱を発生します。密集させたり重ねたりすると熱が逃げにくくなるため、許容電流の確認では、実際の配列や施工条件に合う基準を用います。
ラックに載せられる本数と、電流を安全に流せる配列条件は、分けて確認する必要があります。
施工・点検・増設に必要な作業スペース
ラックの上や横に、施工・点検・増設のための空間があるかも確認します。
天井内にラック本体が納まっても、ケーブルを載せる作業ができなければ施工や保守に支障が出ます。周囲の配管やダクトなどとの位置関係も含めて計画しましょう。

7.ケーブルラック施工時の注意点
金属製ラックの接地と電気的な接続
金属製ラックでは、適用される接地条件と、継ぎ目・カバーなどの電気的な接続方法を確認します。
見た目にはボルトでつながっていても、塗膜などの影響で必要な導通を確保できるとは限りません。アースボンド線や専用金具など、製品に応じた方法で施工します。
ケーブルの固定とラック端部の保護
特に立ち上がり部分では、ケーブルの自重がかかるため、適切な支持・固定が必要です。
切断面や端部でケーブルを傷つけないよう、保護部材や加工後の処理も確認します。
壁や床の防火区画を貫通する部分の処理
ケーブルラックが防火区画の壁や床を貫通する場合は、その箇所に適合する防火措置が必要です。
ラックとケーブルを通して隙間を埋めるだけでよいとは限りません。採用する工法の認定条件や施工要領に合わせて、開口寸法・ケーブル量・支持方法などを確認します。
屋外カバーの浮き上がり・飛散対策
屋外でカバーを使用する場合は、雨や日射への配慮に加え、風による浮き上がり・飛散への対策が必要です。
指定された取付金具と固定方法を守り、設置場所の風条件も確認します。
8.ケーブルラックの選び方と確認手順
ケーブルラックは、次の順序で条件を整理すると選びやすくなります。
1. 載せるケーブルを確認する
種類・太さ・本数・重量・曲げ条件を整理します。
2. 設置環境を確認する
屋内外、湿気、塩分、薬品、温度などを確認します。
3. 形状と材質・表面処理を選ぶ
支え方、施工性、腐食への強さを比較します。
4. サイズと支持方法を確認する
配列スペース、増設余裕、許容荷重、支持間隔を確認します。
5. 付属品と施工条件を確認する
曲がり・分岐・固定・接地・防火措置などを整理します。
ケーブルラックは、形状だけで用途が決まる部材ではありません。何を載せるか、どこに設置するか、どのように支えるかを順に確認することで、現場に合った製品を選びやすくなります。
9.本記事の利用にあたって
本記事は、ケーブルラックに関する基本的な知識と一般的な選定の考え方を紹介するものであり、個別の現場における設計・施工の適合性や安全性を保証するものではありません。
実際の選定・施工にあたっては、最新の関係法令・技術基準、設計図書、メーカーの仕様書・施工要領書などを必ず確認し、必要に応じてメーカーや設計・施工の専門家にご相談ください。最終的な判断は、現場の条件を確認したうえで、ご自身の責任で行ってください。
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