用語・基礎の解説

飲食店の負荷計算例|パッケージエアコンなどのブレーカー容量の計算

最終更新: 2026-10-05

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飲食店では、照明やコンセントだけでなく、IH調理器、炊飯器、冷蔵庫、冷凍庫、エアコン、換気設備など、さまざまな電気設備を使用します。

ここでは、30~40席程度の小規模な飲食店をモデルとして、仮定した設備条件から想定負荷を求め、主幹ブレーカーを選定するまでの計算例を紹介します。

今回は、飲食店の電気設備を大きく、

  • 電灯・厨房系統
  • 動力系統

の2系統に分けて計算します。

なお、本記事で使用する設備容量、需要率、定格電流、主幹ブレーカー容量などは、計算例を説明するために設定した仮定値です。

今回想定する飲食店の条件

飲食店の電気設備を、単相3線式100/200Vの電灯・厨房系統と三相3線式200Vの動力系統に分けた構成図

今回のモデル店舗は、次の条件とします。

店舗規模:30~40席程度

営業形態:一般的な飲食店

電灯・厨房系統:単相3線式100/200V

動力系統:三相3線式200V

100V負荷:L1・L2へできるだけ均等に振り分ける

電灯・厨房系統の力率:計算を簡略化するため1.0と仮定

実際にブレーカー容量と幹線を計算してみる

今回の飲食店の設備構成

まずは、今回の飲食店にどのような設備があるのかを確認します。

電気設備は「電灯・厨房系統」と「動力系統」の2つに分けます。

電灯・厨房系統

電源方式は、単相3線式100/200Vとします。

表の内容は次のとおりです。

飲食店の電灯・厨房系統について、店内照明やコンセント、IH調理器などの設備容量、需要率、想定負荷をまとめた表

今回の需要率は、飲食店に一律で適用される数値ではありません。

このモデル店舗におけるピーク時間帯の使用状況を想定して設定した仮定値です。

照明やIH調理器、炊飯器、食器洗浄機など、ピーク時間帯に使用しているものは100%とします。

一方、一般コンセントや電子レンジについては、接続可能な設備容量のすべてを常時使用するとは想定せず、今回の計算例ではそれぞれ60%、50%と仮定します。

動力系統

動力系統は、三相3線式200Vとします。

今回はメーカー資料や機器の銘板を確認した結果、次の定格電流だったものと仮定します。

表の内容は次のとおりです。

飲食店の動力系統について、冷蔵庫、冷凍庫、エアコン、換気設備の定格電流と需要率をまとめた表

今回は、営業中のピーク時間帯に冷蔵庫、冷凍庫、エアコン、換気設備がすべて運転しているものと仮定します。

そのため、動力系統については需要率100%として計算します。

以上が、今回計算する飲食店の全体構成です。

ここから「電灯・厨房系統」と「動力系統」に分けて、主幹ブレーカーを選定していきます。

① 電灯・厨房系統の想定負荷を求める

まずは、設備容量にそれぞれ仮定した需要率を考慮します。

店内照明

2.0kW × 100%

= 2.0kW

一般コンセント

3.0kW × 60%

= 1.8kW

IH調理器

5.0kW × 100%

= 5.0kW

炊飯器

3.0kW × 100%

= 3.0kW

電子レンジ

1.5kW × 50%

= 0.75kW

食器洗浄機

3.0kW × 100%

= 3.0kW

これらを合計します。

2.0+1.8+5.0+3.0+0.75+3.0

= 15.55kW

したがって、今回の電灯・厨房系統は、

設備容量:17.5kW

想定負荷:15.55kW

となります。

② 電灯・厨房系統の想定負荷電流を求める

次に、15.55kWの想定負荷から電流を求めます。

今回の電源方式は、

単相3線式100/200V

です。

100V負荷についてはL1・L2へできるだけ均等に振り分けられているものとし、電灯・厨房系統の力率は説明を簡略化するため1.0と仮定します。

15.55kW = 15,550VA

として、

15,550VA ÷ 200V

= 77.75A

となります。

したがって、

想定負荷電流:約77.8A

となります。

③ 電灯・厨房系統の主幹ブレーカーを選定する

想定負荷電流は約77.8Aです。

今回の計算例では、想定負荷電流を上回る定格として、

主幹ブレーカー:100A

を選定します。

実際にブレーカー容量と幹線を計算してみる

飲食店の電灯・厨房系統で、設備容量17.5kWから需要率を考慮して想定負荷15.55kW、負荷電流77.75Aを求め、主幹ブレーカー100Aを選定する流れ

④ 動力系統の定格電流を確認する

次に、三相3線式200Vの動力系統を計算します。

今回の定格電流は、

冷蔵庫:4A

冷凍庫:3A

エアコン:18A

換気設備:2A

と仮定しています。

これらを合計すると、

4+3+18+2

= 27A

となります。

今回は、ピーク時間帯にすべての設備が運転しているものと仮定しているため、需要率は100%です。

したがって、

電動機等の定格電流合計:27A

として計算を進めます。

⑤ 動力幹線に必要な許容電流を求める

今回の動力系統では、

電動機等の定格電流合計:27A

その他の負荷:0A

と仮定します。

したがって、

電動機等27A > その他の負荷0A

となります。

また、電動機等の定格電流合計は50A以下です。

今回の条件では、幹線に必要な許容電流を求めるため、

27A × 1.25

= 33.75A

となります。

したがって、

幹線に必要な許容電流:33.75A以上

として検討します。

ここで計算した33.75Aは、主幹ブレーカーの容量を直接決定する数値ではなく、電動機等を含む幹線の電線に必要な許容電流を検討するための値です。

⑥ 動力系統の主幹ブレーカーを選定する

今回のモデルケースでは、

  • 電動機等の定格電流合計:27A
  • 幹線に必要な許容電流:33.75A以上
  • 各設備の始動特性を確認済み
  • 40Aの過電流遮断器で始動上の問題がない

という条件を仮定します。

以上の条件から、今回の計算例では、

主幹ブレーカー:40A

を選定します。

実際にブレーカー容量と幹線を計算してみる

飲食店の動力系統で、電動機等の定格電流合計27Aから幹線に必要な許容電流33.75A以上を求め、始動特性等を確認して主幹ブレーカー40Aを選定する流れ

今回の計算をまとめると

今回の飲食店では、次の結果になりました。

【電灯・厨房系統】

単相3線式100/200V

設備容量:17.5kW

↓

需要率を考慮した想定負荷:15.55kW

↓

想定負荷電流:約77.8A

↓

主幹ブレーカー:100A

【動力系統】

三相3線式200V

電動機等の定格電流合計:27A

↓

需要率100%

↓

幹線に必要な許容電流:33.75A以上

↓

始動特性等を確認

↓

主幹ブレーカー:40A

という結果になりました。

今回のように飲食店の負荷計算を行う場合は、店舗全体の設備容量に一律の需要率を掛けるのではなく、設備の使用状況を整理したうえで想定負荷を設定すると、実際の設備構成をイメージしながら計算できます。

実際にブレーカー容量と幹線を計算してみる

注意事項

本記事は、飲食店の負荷計算から主幹ブレーカー選定までの流れを分かりやすく説明することを目的とした計算例です。

設備容量、需要率、定格電流、同時使用条件、主幹ブレーカー容量などは、今回のモデル店舗を説明するために設定した仮定値であり、飲食店に一律で適用できる数値ではありません。

特に、一般コンセント60%、電子レンジ50%といった需要率についても、飲食店に対して一律に使用できる需要率を示したものではありません。

実際の現場では、建物用途・設備仕様・使用状況・電源方式・力率・定格電流・電動機の始動特性・施工条件などを確認するとともに、最新の法令・内線規程・メーカー資料・電力会社等の条件を確認し、必要に応じて有資格者や専門家の判断のもとで個別に検討してください。

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